文化遺産カード

文化遺産カード
地域の残る幾多の「文化遺産」とは,将来の文化的発展のために継承されるべき過去の文化であるが,生活・産業優先の今日,なかなか顧みられることは少ない。そして一見,現代の生活や街並とまったく無関係だと思うのであろうが,それはちょっと違う。昔のモノ・出来事だといって無視するのはどうだろう。ひょっとすると,地域力を蘇らせる魔法のチカラがそこに眠っているかもしれない。思わぬ発見がありそうだ。そのことを確認するためにも,まずは自分でそのモノたちに出会う必要がある。ではどうしたらそうした情報を手に入れることができるか。webで検索するなどさまざまなツールがあるが,もっと楽しく面白い仕組みが作れないかと考えたのが「文化遺産カード」である。

では「文化遺産カード」の仕組みを紹介しよう。まずは地域に残された文化遺産を訪ねる,そしてその場所の写真を撮る。決められた配布場でその写真を提示するだけで無料で文化遺産カードがもらえる。「そこに行ってきました」,という事がわかれば専用のカードがもらえる仕組みを目指している。お祭りや芸能,古墳・遺跡・お城・街並・巨木・古戦場,物語の場面やこだわりのコレクションなどなど,多様な文化遺産を訪ね,その現場に立ち,その風景や歴史に思いを馳せることができれば素晴らしいことだ。迫力ある場面や美しいモノ,感動や癒しをもとめて旅するのも良い。そして次々にカードのある場面をそれぞれの好みに合わせて訪ね歩き,カードを集めていくことができる。またカードが増えれば,お城シリーズや古墳シリーズといった集め方もできるし,加えてカードには,必要最上限の情報が記されているので便利である。文化遺産カードはまだはじまったばかりで,今は愛知・岐阜を中心にして16カ所だけだが,さらに増やして行きたいと考えている。

カードの種類や配布場所といった文化遺産カードの情報は,「文化遺産の見える街づくり事業」をめざして活動している,NPO法人古代邇波の里・文化遺産ネットワークが運営している専用ホームページにて確認できるので,ぜひ見て欲しい。http://herica.netところで,実は文化遺産カードにはいくつかの仕掛けが潜んでいる。カード番号だけではなくパスワードというものがあるが,今後の展開としてホームページ上に自分だけの「文化遺産マイミュージアム」というコンテンツを立ち上げる予定である。専用バインダーでカードを収集するのもよいが,さらに一歩進んだ公開方法を予定しているので,期待していただきたい。

未曾有の大災害がこの列島を襲った,各地で繰り返される災害をどのように乗り越えてきたのかという知恵が残されてきた。地域の特性や微妙な地形をうまく生かした街づくりがそこにある。すべて歴史に学んだ叡智であったはずだ。そしてその継承のために残された記念碑や祭りもある。今こそこうした地域に残された文化遺産を再評価して,そこを基点として安心安全な地域の街づくりにいかして行く事が大切である。文化遺産カードがその切っ掛けになればありがたい。
(2011年9月30日 中日新聞夕刊掲載内容)

Comments are closed.