文化遺産の見える街づくり

見えるランドマーク
犬山城下町から見えるお城の天守,ご存知のように国宝犬山城です。知名度も抜群であり,木曽川流域に点在する文化遺産の中でも突出した存在であることは間違いない。いくつかの方向から望み見ることができ,ランドマーク的な存在でもある。ここで言うランドマークとは,ある地域を象徴するような特徴的なモノ,それが記念碑や建物、あるいは特異な空間を意味する場合もあろう。まあ,平たく言えばその地域の中で目印となるような特徴的なモノだ。人によってはモンキーパークの観覧車もそうかもしれない。あるいは古くからのこの地の神々を奉る本宮山や尾張富士もその仲間である。
このように場所,場面や人や目的によって多様な対象が相当する。しかし問題はむしろそうした特定の場所への案内役というものではなく,その街のイメージを決定付けてしまうほどのインパクトをもつ存在性が重要です。その地の空間を強烈にカタチづくってしまうほどのパワーを秘めたもの。犬山のお城はそうした要素を備えていることは周知のことでもある。では・・・他にはなにがある。
イメージするランドマーク
さて,犬山城から木曽川を左手に見ながら,東側を望むとちょうど正面に成田山名古屋別院がみえる。よく見るとその山頂が何かこんもりとして高まり状になっているのを気づいたヒトがいれば,ありがたい。そうです,ここに「国史跡東之宮古墳」が存在しています。今から一七〇〇年以上前に人の手によって築かれた記念物だ。東之宮古墳とは古墳時代はじめの七〇メートルクラスの大型の前方後方墳で,木曽川水系では最古の大型古墳である。つまりこの古墳の造営から,犬山,尾張の古墳時代がはじまったと言っても過言ではない。犬山城より高く,白山平(はくさんびら)山という標高一四三メートルの山頂であって,犬山市域はもとより対岸の各務原市域も含めて広くからその位置を確認することができる。広域のランドマークといえよう。そのカタチは,現在は山そのものであるから古墳なのか単なる自然の形なのかわからない。しかし山頂が人工物でできあがっているという事を知っていると,白山平山頂の不思議なカタチの意味が見えてくる。すなわち意識すること,あそこに最古の大型古墳が造られ,この地を最初に律した偉大なる王が存在した事を知らしめるモニュメントであると・・。このように見えないランドマーク,意識しないと見えてこないモノがある。しかしひとたびイメージするとその場面を含めて太古の世界が広がっていく。犬山の地を,はじめて豊かな場面にかえる,壮大な事業を成し遂げた古代の英雄たちの姿が見えてくる。そうです・・・イメージする楽しさ。
四次元空間への旅立ち
我々が生活する三次元の世界,見えるもの,触れるもの,香るものが混在する面白き世界が広がっている。日々の生活の中に,楽しさや悲しさが入り交じりそれぞれの歴史を刻んで行く。そうした日常性の中に,我々はもう一つの次元を追加する事を提案している。それは歴史という「時間」です。同時にその事を常に意識し,感じるモノを全て受け入れる。異なる文化や不可思議な出来事。それらをその地域の歴史であると思うと,そこに豊かさやその地域がもつ本物の姿が見えてくるはずです。だれかが作り上げた見てくれの姿ではない,一過性のイベントとはまるで異なる,深みのある映像が映し出されるのです。時間の中に埋没して見えなくなってしまったモノたちが蘇る。伝統的なお祭りはその典型的な瞬間かもしれません。地域の遺伝子がおのずと動き出すから,老いも若きも境なく楽しめるのです。そして心に残り深く深く沈殿し,その地域を一瞬にして印象づけてしまう。そんなものは他にありません。文化遺産がもつ偉大なるパワーだと思ってます。きょうから・・・四次元旅人になろう。
文化遺産が見える,コンセプト
地域コミュニティは、教育・防災・福祉・生活環境など、あらゆる分野で地域の根幹をなすものですね。でもその地域の絆を,どのようにして維持していくのかが今まさに問われている時代だと思います。そこで,地域に残る・守られてきた多様な文化遺産を生活の中心にすえ,それらを多いに活用することで,豊かで楽しい地域社会を復活・維持していくことができると考えます。
ただし,文化遺産は次の時代の文化の発展のために継承されるべき重要な地域の財産でありますが、近年の急激な開発や世代の交代により、そこに存在した理由や価値が急速に失われつつあります。これらは地域固有のものであり、一度失われてしまうと復元することは容易ではありません。後悔しても取り戻すのは難しい。この大切な地域歴史資源を守り育てて行く事が「文化遺産のみえる」まちづくりの基本理念です。私たちはこの活動を通じて地域に貢献していきたいと思っています。
「史と詩の町から」vol.11-3 より

Tags:

Comments are closed.